オリジナル刺繍の豆知識【刺繍型(パンチ)編1】

オリジナル刺繍の豆知識【刺繍型(パンチ)編1】

近年、弊社に製作を依頼される方のほとんどが文字のみの刺繍(有り文字刺繍)や個人のお名前を入れるネーム刺繍だけではなく、デザイン刺繍(ロゴ刺繍)を希望されます。

オリジナルのロゴを刺繍で入れたいという方は年々増えていますが、さらにはかなり細かい凝ったデザインが増えて来ております。
オリジナルロゴデザイン刺繍を入れたスクラブや白衣、ウェア製作をご検討されている方に、
刺繍について説明をさせていただきます。
今回は、刺繍型(パンチ)編1です。

昔の刺繍は手振りと言って、ミシンを動かしながら、生地をはめた刺繍枠を人間の手で動かして刺繍をしていました。
刺繍=職人の技がでした。

しかし、近年はコンピューターミシンが主流となっており、ミシンに刺繍専用ソフトで作成したデータを入れると後は機械が加工してくれます。

そこでポイントとなるのが、刺繍の段取りと刺繍型(パンチデータ)の作成です。

要するに、製品(生地)を正しくセットすることと、刺繍型(パンチデータ)をしっかり作ることが重要です。

そこで今回は、刺繍型(パンチデータ)についてお話をします。

これを一般的には刺繍型と言っています。昔から業界ではパンチデータと呼んでおり、今でもパンチという言葉を使用することが多いのですが、一般型にはわかりづらいということで刺繍型という表現をしています。

型と言っても、枠や箱という物理的なものではなく、刺繍用の専用ソフトで作ったデータのことです。

刺繍は刺繍型(パンチデータ)の指示によって、機械が刺繍することになるので、型(データ)の良し悪しによって
刺繍の仕上がりの質がかなりの割合で決まると言えます。刺繍にとって重要なものなのです。

実際の画像をご覧ください。

下の画像上側が刺繍型(データ)で 下側が実際の刺繍画像です。

刺繍型(データ)
実際の刺繍画像

刺繍型(データ)は刺繍を打つためにミシンに指示をするデータで、以下の情報が含まれております。

◆ 打ち込み方法(サテン打ち、たたみ打ち、ステッチ表現)
◆ 糸を打ち込む順番(スタートから終了まで)
◆ 糸の色
◆ 各文字やオブジェクトを打った後の糸切を入れいるか入れないか
◆ 打ち込むステッチ幅
◆ 打ち込む角度
◆ 糸の密度(本数)
※糸の太さによって本数を増やしたり、減らしたりします。
◆ 生地に厚さ、柔らかさにより影響する縮みの補正の具体(数値)

なので、刺繍型がうまくできていれば、かなりの確率で綺麗な刺繍が出来上がます。

上記の画像を参考として紹介します。

こちらのデザインは10色しております。様々な形のオブジェクトがそれぞれ組み合わされているデザインです。

確認していただいきたいのは、各色の刺繍糸の向き(角度)と刺繍の打ち方です。
それぞれのカラーの面(糸の)打ち方と、糸の向きが微妙に違っていることが確認できると思います。

刺繍が立体的に見える理由の一つに、糸の向き(角度)と打ち方の組み合わせにあります。
糸は向きによって光の反射が変わりますので、それぞれの面の糸の向き(角度)が少しずつ変わることで光の反射が変わり、
立体的に見えます。

逆を言えば、しっかりとその点を考えていない刺繍型(パンチ)はすべての糸が同じ向き(角度)になっているので、
まったくのっぺりとして立体感のない刺繍となってしまいます。

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