衣料に使われている生地の「糸」のお話し

衣料に使われている生地の「糸」のお話し

以前、刺繍糸についてお話しをしましたが、今回は生地を構成している「糸」について話したいと思います。
アルファユニが主に販売しているスクラブの素材はポリエステル100%がほとんどですが、綿とポリエステルの混紡のものもあります。ポリエステルとはあくまで繊維素材の名称であり、その素材を糸にしてその後編んだり、織ったりすることで生地になりますが、糸によっても生地の風合いが変わります。

「糸」とは、複数の「繊維(ファイバー)」を束にして長く連なったしなやかな綿状の物体のことです。「繊維(ファイバー)」とは「細くて長い糸状の物質」と辞書には書いてありますが、「繊維」の素材は様々ですが、色々な種類素材の糸が存在します。

1.「糸」について 繊維の原料による分類

繊維から構成されて出上がった「糸」については、繊維質をそのまま使用して作る「天然繊維」と工業的に作る「合成繊維(化学繊維)」に分かれます。また、「天然繊維」については大きく「動物性」と「食物性」に分かれます。ちなみに綿糸と毛糸はどちらも「天然繊維」ですが、綿は植物性の天然繊維で、毛糸は動物性の「天然繊維」になります。

スクラブに多く使用されている生地のポリエステル「糸」は「合成繊維(化学繊維)」となります。

生糸(シルク)はご存じの通り「繭」から細長い繊維「繭糸(けんし)」を取り出し数本撚り合わせて糸にしている「天然繊維」となります。ちなみに1つの繭から1000~1500メートルの繊維が取り出されます。

2.「糸」について 糸を作り方による分類

「糸」は、作り方(工程)によって大きく「紡績糸(短繊維)」「フィラメント糸(長繊維)」に分かれます。大きく以下の2種類の糸があります。

1) フィラメント糸(長繊維)

連続した長い繊維(Filament)で構成された糸のことを言います。ポリエステルやナイロン、レーヨンなどの合成繊維(化学繊維)が長繊維として使用されることが多くなっています。

材料(ポリエステルの場合は、多価アルコールと多価カルボン酸)を溶かし(融かし、熔かし)液体状にし、小さな穴(ノズル・0.2~0.5㎜程度)から押し出した「繊維」を冷却しながら数百倍に伸ばして直径数十μmにしたものがフィラメントです。ノズル(金口)の形状によって三角や中空やさまざまな形の断面を作ることができます。
「紡糸法」のバリエーションは様々ですが、簡単にまとめると以下の通りです。

原料 ⇒ 溶かす ⇒ ノズルから押し出す ⇒ 引き延ばす (巻き取る、または吹き飛ばす) 
⇒固める(冷やす)

1本で数十メートル以上連続している細長い繊維ですが、フィラメント(繊維)が1本の糸「モノ・フィラメント糸」と言い、フィラメントをたくさん撚り合わせたもの「マルチ・フィラメント糸」と言います。マルチ・フィラメント糸はフィラメント数本から、多いものだと数百本のフィラメントを束にして作られているものもあります。糸の作り方によって糸の性質や肌ざわり、風合いが異なってきます。
また、フィラメント糸には毛羽が存在しませんので、糸の表面に直接肌が触れることで「冷たさ」を感じるのが特徴です。
ちなみに、天然繊維でも長繊維があり、生糸(シルク)がフィラメント糸(長繊維)に分類されます。

フィラメント糸と紡績糸

2) 紡績糸(短繊維)

原料となる繊維の1本1本が短く、その短い「繊維」撚り合わせてある程度の太さにしたものを「紡績糸」と言い、一般的に「短繊維」と呼ばれています。
紡績糸に使われる短い繊維の代表格が綿(綿糸)です。
原綿は短い繊維の集合体です。それを以下の工程で糸にして行きます。

原綿 ⇒ 梳く(繊維を平行にする、combing) ⇒ 引き伸ばし(均一化) 
⇒ 撚り(紡績) ⇒巻き取り

紡績糸の大きな特徴は、毛羽があることです。毛羽は、短繊維の一端が糸中に撚り込まなかったことにより糸の表面に飛び出した繊維で、糸の表面がざらついています。
この毛羽があることで、肌の上に着たときにに糸と肌の間に空間ができるため、人は温かさを感じます。

ちなみに綿でも繊維の長いものと短いものがあり、長い繊維の綿を「長繊維綿」と言い、繊維の長さが3.5~6cmが「長繊維綿」に分類されます。その「長繊維綿」で紡績された糸は毛羽が少なくなるため、その糸で編んだ生地は表現の光沢感が高く、肌ざわりがつるっとした高級な生地となります。

代表的な超繊維綿は、中国新疆ウィグル自治区の「新疆綿」、アメリカの「ピマ・コットン」、エジプトの「エジプト綿」などが有名です。

3. ポリエステルの紡績糸について

ポリエステル「糸」は「化学繊維」で人工的に作られた繊維で、長繊維として使用されることが多いですが、紡績糸(短繊維)を作ることもできます。「フィラメント糸」の説明の通り最初は細長いフィラメントですが、それを用途に応じて短くカットし綿状の原料にしてから撚りをかけて紡績糸にします。綿とポリエステルの「混紡糸」は漢字との通り、混ぜて紡績した糸ですので、カットしたポリエステルと綿の繊維を撚り合わせて作ります。混紡糸を使って生地では、T/C=65%:35%のものは色々なところで多く使われています。
※T=テトロン(ポリエステルの俗称)とC=コットンが35%と65%の割合で紡績されている糸ということです。

ポリエステル素材100%の紡績糸で生地を作ると、毛羽が肌に触れるため、綿のような肌ざわりに感じます。スクラブでも実際に紡績糸⇒生地⇒製品にしている代表的な製品(品番)がありますので、紹介します。

KAZEN133 スクラブ

生地:ポリエステル100%ポプリン

【ポプリンについて】
紡績糸(短繊維)を使用し、経(たて)糸の密度が緯(よこ)糸の2倍ある柔らかい風合いの平織りの生地。布面に緯糸の細い畝があるのが特徴です。
紡績糸を使用して織った生地ということで毛羽がありますので、ポリエステルですが、綿のような風合いです。スクラブは地肌に着ることが多いので、汗を掻いてもべたつかずさらっとした着心地が人気です。
ポプリンの生地は綿素材は主流となっておりますが、スクラブでは133以外にも、ポリエステル素材でポプリン生地を採用している品番があります。

133スクラブ

糸について簡単にまとめて書きましたが、いかがでしたでしょうか。繊維結構奥が深いですね。

この記事をシェア