【現場レポート】1人3台は当たり前。刺繍加工場の「ミシンを止めない」プロの流儀
2026.08.10
「ダダダダダッ!」刺繍の加工場に足を踏み入れると、まず鼓膜を揺らすのは、高速で動くリズミカルな工業用ミシンの音です。
そしてある驚きの光景を目にします。それは、1人のスタッフが複数のミシンを同時に、しかも流れるような無駄のない動きで操作している姿です。
「これ、どうやって全部見ているんだろう?」
今回は、そんな疑問をスタッフに直接聞いてみました。
普段なかなか見ることのない刺繍加工場の仕事。
どんなことを考えながら作業しているのか、実際の現場の様子と一緒にご紹介します。
一度に1人で、何台くらいのミシンを動かしているんですか?
スタッフ:
「基本的には、1人で2~3台はまわしていますね」
さらっと答えてくれましたが、実際にその様子を見ていると、2〜3台を同時に見るのはなかなか大変そうです。
ミシンが動いている間にも、次の作業の準備を進めていきます。

1日にどれくらいの枚数を縫うことがありますか?
スタッフ:
「丸1日ミシンを回していて、もちろん他の作業や準備もしつつですが……ワンポイントの刺繍なら、タジマ(※刺繍ミシン)を使って1時間で35枚以上縫ったこともあります。ネーム刺繍の場合は文字の長さによっても時間が変わりますが、1人で80枚以上縫うこともありますよ」
数字だけ聞いてもかなりのスピードですが、実際の現場を見ていると、その理由が少し分かります
ミシンを動かしている間、スタッフはじっと待っているわけではありません。
生地をセットしたり、糸を確認したり、次の加工の準備をしたり。
仕上がったスクラブがあれば、そちらの作業も進めていきます。
しかも基本は立ち仕事!
無駄がない動き。手と頭は常に次の工程へと動いているのです。そして、季節関係なく半袖で作業しています。
なんだかアスリートみたいですごいとしか言えません!
「それだけ動いていたら、暑くなるのも分かる……!」そんなことを思ってしまうくらい、加工場は常にスタッフが動いています。
ミシンの調子を見ながらまわしつつ、空いた時間にはどんな作業をしているんですか?
スタッフ:
「その日によって変わりますが、スタッフ同士で協力しながら色々なことを並行しています。服をたたむ作業、次の加工準備、ワッペンのヒートカット作業などですね。 特にワッペンの取付作業をしている時はたたむ時間が取れなかったりするので、お互いにたたみの作業を手伝い合ったりしています」
自分に割り当てられたミシンだけを見ていればいいわけではなく、現場全体の流れを読みながら動いている凄みを感じます。

複数台のミシンをまわす時、特に気を付けていることはありますか?
スタッフ:
「縫う時間が長い案件から準備してスタートさせるようにしています。1日の決まった工程をこなすために、なるべくミシンを止めないように調子を見ながら作業を組み立てています」
「ミシンを止めない」。
これが、膨大な注文をスケジュール通りに仕上げるための最大の秘訣。
常に先回りして段取りを組む思考回路が、あの流れるような動きを生み出しているのですね。
見ていると本当に無駄のないプロの動きですが、初めからこんな風に動ける人はいないはず。最後に、一番気になっていたことを聞いてみました。
この作業スピードに慣れるまで、どれくらいかかりましたか?
スタッフ:
「人によりますが、大体3か月ほどで1人で2~3台を担当するようになります。 でも正直なところ、慣れるのを待っている余裕はありませんでした」
なるほど……。
たしかに、毎日の仕事には決まった工程があります。
続けてこう話してくれました。
「1日の工程をこなすために、『やるしかない!』という意気込みで続けています。工程を進めるために、その時できることを一つずつこなしていくしかないんです。そうやって必死に動いているうちに、気付けば複数台を見ながら動くのが当たり前になっていました」
慣れる云々ではない。「やるしかない」というプロの覚悟!

日々、複数のミシンを動かしながら、一つひとつ丁寧に加工を行っています。
取材を終えて
私から見ると、もはや「混乱レベル」のマルチタスク。 しかし、現場のスタッフたちにとっては、それが日常です。
取材して分かった、刺繍加工の「段取り」の大切さ。
今回、実際に加工場でスタッフの動きを見てみて、一番印象に残ったのが「次の作業を考えながら動いている」ということでした。
毎日、決められた時間の中で、スクラブやユニフォームなど、さまざまなウェアに刺繍加工を行っています。
お客様のもとに届くウェアの裏側では、刺繍加工場のスタッフたちが、日々ミシンと向き合っています。
もし次にアルファユニの刺繍入りスクラブやウェアを手に取る機会があれば、ぜひ刺繍の仕上がりにも注目してみてください。
執筆:WEB担当
取材協力:加工場スタッフ

