オリジナル刺繍の豆知識(刺繍加工編)1

オリジナル刺繍の豆知識(刺繍加工編)1

刺繍加工の良し悪しについて

そもそもブランドロゴや企業のマーク、ウェアなど繊維製品に刺繍で入れるのはなんででしょうか?

ロゴやマーク、文字をより高級にカッコよく見せるためだと思います。
また、洗濯しても剥離しない、型崩れが少ない耐久性を求めているからだと思います。

なので、綺麗で、高級感がなければ、刺繍にする意味が半減するどころか、なくなってしまいます。
綺麗な刺繍、立体的で高級感がない刺繍であれば、プリントの方が良いということになります。

では、刺繍とは、本来どのレベルであるべきか。綺麗な刺繍とそうでない刺繍の違いは何でしょうか?

インターネット上では、加工の安さを売りにしているショップが結構存在します。
私が見る限り、はやり、安かろうは悪かろうであることがか多いと思います。例えば、安くするために刺繍の糸密度を下げることで、生地の色が透けて見えている、刺繍型が作り方に手間がかかっていないなど。

やはり安い刺繍加工には必ず安い理由があります。なぜなら、刺繍は1本1本糸を打ち込みますので、物理的に時間がかかる加工だからです。

また、そのようなショップのホームページで実際に掲載している刺繍画像は、非常に小さい拡大してもよく見えないことが多いです。
なので、刺繍のレベルが詳細に確認できないのも事実です。

※参考までに、シルクプリントの場合、面積が広くても小さくても、1色1ヶ所であれば1ショット(1回刷り)ですので、プリントにかかる時間が同じです。それに対し、刺繍は面積が広ければその分絶対に時間がかかってしまいます。


では、綺麗な刺繍とはどんなものか。

■質の高い刺繍とそうでない刺繍の違いは何でしょうか?
■刺繍レベルの差は何によってできるのでしょうか?

質の高い刺繍は以下の要素(最低限としての)を満たしているものだと考えます。

  • 糸の密度が高く、生地が透けて見えないこと。打ち込み本数を確保できていること。
  • 糸のほつれやアウトラインのギザギザが目立っていないこと。

以下の画像を参照下さい。

上の画像と下の画像を比較すると、アウトラインのスムースさと密度が違うことがお分かりになると思います。

密度は、刺繍にとって重要な要素です。要するに刺繍する面積にどれだけ糸の本数が詰まっているかということです。
密度が高いと糸と糸が詰まっていますので、下地(生地)が透けて見えることがありません。
自然と刺繍が盛り上がりますので立体感が出ます。また、密度が高い刺繍は洗濯した後に型崩れがしづらくなります。

  • 刺繍前のデザインデータ上のサイズと、実際に仕上がった刺繍のサイズがほぼ同じになっており、縮みや歪み、潰れがないこと。

特に円は難しく、真円をつくることが一番難しいと言われています。これは、弊社で加工してもどうしても若干歪んでしまいます。
また、生地の裏側に入れる芯地も適切な強度であれば、ゆがみを抑えてデータに近いサイズで綺麗に上がります。

以下の刺繍画像を参照下さい。

単純なデザインの割に、刺繍では表現がかなり難しいと言われている日の丸の刺繍画像です。

  • 刺繍の大きさ(文字のサイズ、糸の太さなど)が再現できるサイズで設定されていること。

刺繍限界サイズ未満で加工すると、綺麗にはあがりません。
刺繍加工前に適正な線の太さや、文字の大きさを確保するようデザインを調整する必要があります。
限界サイズを理解せず刺繍すると文字が潰れてしまいます。限界をお伝えし、時には精緻に再現できないことを事前にご理解いただいた上で加工することがあります。
また、糸や針のサイズが刺繍のデザインにあった適切なもので設定されていることが重要です。

以下の刺繍比較画像を参照下さい。

鹿の子ポロシャツの生地に刺繍しておりますが、違いが判ると思います。
左側の画像はしっかりと適正な本数で糸が打ち込まれています。
それに対して右側の画像はかなり打ち込みが甘くなっておりますし、文字のアウトラインが正確に再現されていません。

それと、もうひとつの違いは、そもそも左の刺繍のほうが文字が小さい設定となっております。
そのため、適正に糸を打ち込むことができていません。
特に鹿の子生地は生地の編地が粗く、表面がぼつぼつしておりますので、その穴に糸がはまってしまうとより汚くなってしまいます。

以下の刺繍画像を参照下さい。

上記も文字刺繍の画像です。こちらの画像については微妙ですが、左のほうが打ち込み本数が少なく
右のほうがかなりしっかりと糸を打ち込んでいてボリューム感があります。右の画像と比較しなければ、特に問題ないと思うかもしれませんが、比較すると違いがお分かりいただけるはずです。

誰でもスカスカの刺繍よりもしっかり糸が詰まった刺繍、アウトラインがギザギザよりはスムースなもの、文字や柄が元のデザイン通りに再現できていれば、
良い、綺麗と感じます。

また、糸の打ち込み本数が足りなかったり、芯地が適正でないと、洗濯後にねじれやゆがみが出てしまいます。
※芯地とは生地の裏側に入れる生地。刺繍によって厚さや枚数を変えますし、セットの仕方も変えています。

アルファユニ自慢の刺繍をぜひご覧ください!

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