オリジナル刺繍の豆知識(刺繍加工編)3 刺繍で表現できる線の太さについて
2018.09.21
刺繍で再現できる線の太さについて
刺繍で再現できる「線の太さ」について紹介します。
デザイン刺繍の加工をお受けてしている中で、かなりの頻度で出てくる問題点が、デザインが刺繍で再現できないデザインを依頼されてしまうことです。
具体的には、再現できる大きさよりも小さかったり細かったりです。その場合はデザインの変更や修正の必要性を都度説明させていただいています。
プリントでも細かすぎる表現は潰れてしまうことがありますが、それでも液体のインクで表現するので、ある程度までは再現ができます。
それに対して、刺繍の場合は糸を針で打ち込みますので、糸の太さと針の太さより細い表現をすることは不可能ですので、どうしても太さや大きさ的に再現ができないものが出てきます。
一般の方は、刺繍がどこまで再現できるかわかるはずもありませんから、仕方がないことです。
そのため、アルファユニとしてはいただいたデザイン原案を確認し刺繍で綺麗に再現できるレベルをお伝えした上で、お任せいただければ弊社のデザインスタッフが調整をさせていただいています。
アルファユニの刺繍は、できる限り綺麗に細かい部分まで再現することをモットーとして
加工していますので、一般的に使用される刺繍糸よりも細い(75D/2)ものを使用していてますし、さらには針も通常よりも細い針に替えています。それでも限界がありますので、その場合はデザイン自体を調整をします。
といことで、今回は刺繍で表現できる「線の太さ」についてお話しをします。
以下の画像をご覧下さい。
3種類の線がありますが、通常の刺繍表現として使用する線は一番右です。
これは、糸を横に振りながら、前に針を進めることで、線に幅を出しています。針を横に振って刺繍で表現できる線の太さは「0.7㎜」以上と言われています。
それに対して一番左は、1本糸をただ前に走らせているだけですので、幅がありません。
要するに糸の太さそのものです。線の縦方向へステッチ(針と糸)が進んでいるだけなので「歩きステッチ」という名称で呼んでいます。
このように針が歩くだけ(走りだけ)では、刺繍の良さである存在感も立体感もなくなってしまいます。
ちなみに真ん中の画像は2本でのステッチ表現ですので、若干太くなっています。
なので、刺繍用のデザインを作成される場合は、
是非とも線太さを0.7㎜以上に設定して下さい。ちなみに理想は1㎜以上です。
細すぎると、洗濯後に歪んでしまう可能性が高いからです。
細かい表現があるデザインについては、加工前段階でしっかりとその見極めができないと、潰れて文字が読めないだけでなく、元デザインの形とは全く違った仕上がりになってしまいます。刺繍が仕上がった後から「刺繍の限界なので仕方がないです」、と伝えて納品するだけでは、お客様に満足いただけませんので、事前にしっかりとお伝えした上で対応させていただいています。