刺繍の仕上がりは「段取り」で決まる

刺繍の仕上がりは「段取り」で決まる

綺麗な刺繍を生み出すために、ミシンを動かす前の「段取り」を大切にしています。

刺繍はデータを作成しミシンを動かせば完成するわけではありません。生地の種類や厚み、刺繍する位置、デザインの大きさなどを考慮して、準備を進めていきます。

実は、この事前準備こそが刺繍の仕上がりを大きく左右します。「段取りで仕上がりの8割が決まる」と考え、一つひとつの作業を丁寧に行っています。

今回は、普段お客様からは見えにくい刺繍加工の準備工程についてご紹介します。高品質な刺繍を実現するための現場の取り組みをぜひご覧ください。

Tajima(タジマ)、SINSIM(シンシム)、Brother(ブラザー)の刺繍機を導入し、それぞれの特性や用途に合わせて使い分けています。

基本のルーティン

  1. お掃除・油差し(ミシンのメンテナンス)
  2. 朝の試し縫い(ご機嫌チェック)
  3. 工程振り分け(案件ごとの整理)
  4. 商品の数量チェック
  5. 刺繍データをPCから送る
  6. 新規デザインの試し打ち(※追加の注文でも素材が変われば試し打ち)
  7. 袋出し・位置決め
  8. 枠はめ(生地をミシンにセット)
  9. 刺繍スタート!(1枚目はスタッフみんなで仕上がりをチェック)

どれも大事な作業ですが、この中でも加工場のスタッフが特に気を配っている「3つのポイント」をご紹介します。

ポイント①:「試し縫い」でミシンの状態をチェックする

コンピューターミシンとはいえ、毎日少しずつ調子が変わります。そのため、朝一番に必ずやるのが「試し縫い」です。

 裏側の「1/3」が合格ライン

試し縫いをした後、刺繍の裏側をじっと見つめます。下糸が全体の「3分の1」くらい見えていれば、糸調子がバッチリな証拠!ここが狂っていると、表の刺繍が浮いてきてしまうんです。

下糸

下糸側 / 刺繍表面(上下に裏返し)

また、デザインによって「針」も変えています。細かくて繊細なデザインのときは、細めの針に変えています。ちょっとした工夫ですが、これが仕上がりの美しさに直結します。

そして、上糸と下糸のバランス調整は、新人スタッフにとって特に難しい作業のひとつです。もちろん手順やポイントはしっかり伝えていますが、ベストな状態を見極めるには経験も必要です。実際には、作業を重ねる中で少しずつ感覚が身につき、適切な調整ができるようになります。

また、使用する糸の色によっても調整が必要になることがあります。

  • とくに注意が必要な色:ダークネイビー、レッドなどの「濃い色」

濃い色の糸は、なぜか少し浮いてきやすい性質があり、ミシンと糸の様子を見ながら微調整を繰り返しています。

ポイント②:糸の保管も刺繍品質のひとつ

アルファユニには100色以上の刺繍糸がありますが、糸はとってもデリケートなもので
乾燥や紫外線で劣化しないよう、保管する時は「1本ずつ袋に入れて、日の当たらない場所で保管」しています。

刺繍糸

ポイント③:仕上がりを支える「芯地」と「枠はめ」

刺繍を行う際は、生地の裏に補強用の「芯地(しんじ)」を当てます。
芯地は、刺繍による生地の伸びや歪みを抑え、きれいな仕上がりを支える大切な役割を担っています。

直刺繍には接着剤の付いていない芯地を、ワッペンには接着剤付きの芯地を使用しています。生地の種類やデザイン、加工方法に合わせて芯地を使い分けることで、より安定した品質の刺繍を実現しています。

芯地の種類使うシーン

柔らかめの芯地

細かいデザインに使用します。縫っていくと芯地はどんどん穴だらけになりますが強くデザインがズレにくい芯地のためこちらを主に使用しています。キャラクターなど輪郭線がズレないよう芯地を2枚重ねて縫うこともあります。

固めの芯地

単純で大きなデザインの時に使用します。ペリッと剥がしやすいのが特徴です。

黒の芯地

そんなに使用頻度は高くありませんが、黒いエプロンやバンダナなど特定の商品に使用しています。

絶対にズレてはいけない「枠はめ」

そして、加工場のスタッフが最も気を遣う工程のひとつが、生地を刺繍枠にセットする「枠はめ」です。

ここで生地にシワやたるみがあると、刺繍全体の歪みにつながってしまいます。そのため、芯地を少し大きめにカットし、生地をしっかりと張った状態で枠にはめていきます。

実は、この作業には適切な力加減と経験が必要です。強すぎても弱すぎても良い仕上がりにはならないため、生地に偏りが出ないよう均一な力で丁寧にセットしていきます。

こうした見えない部分のひと手間が、美しい刺繍を支える大切な土台となっています。

背中の刺繍

胸の刺繍

袖の刺繍

執筆:WEB担当
取材協力:加工場スタッフ

刺繍制作のことや日々の工夫について、noteにも綴っています。よろしければご覧ください。

アルファユニの刺繍についてはこちら↓

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