ワッペン刺繍シリーズ① ワッペンと直刺繍の特徴と選び方
2026.06.18
今回はワッペン刺繍についてお話したいと思います。
普段何気なく使っている「ワッペン」という言葉ですが
語源はドイツ語の「Wappen(ヴァッペン)」 といわれており、「紋章」や「徽章(きしょう)」という意味があります。
日本ではそこから意味が広がり、現在では刺繍されたエンブレムやパッチ類をまとめて「ワッペン」と呼ぶようになりました。
では、刺繍ワッペンと直刺繍にはどのような違いがあるのでしょうか。
刺繍ワッペンは土台となる生地に刺繍を施して作られます。
対して直刺繍は、スクラブやウェアへ直接刺繍を入れる方法です。
お客様から「直刺繍とワッペン、どちらがおすすめですか?」というご質問をいただくことがあります。
この質問、すぐに答えるのが難しいところで
なぜなら、デザインや用途、ご予算によって答えが変わってくるからです。
今回から少しずつ、その魅力や特徴をご紹介していきたいと思います。
さて、ここで問題です。
皆さんは、このかわいい秋田犬の刺繍は「直刺繍」と「ワッペン刺繍」どちらだと思いますか?

正解は「直刺繍」です!
お客様から「これはワッペンですか?」と聞かれることがあるのですが、ワッペンではありません。実際はスクラブやウェアへ直接刺繍しています。
では、こちらの刺繍は「直刺繍」と「ワッペン刺繍」どちらだと思いますか?

正解は「ワッペン刺繍」です!
スクラブとワッペンのツイル生地の色合いが近いため、一見すると直刺繍にも見えるかもしれません。
しかし、よく見るとワッペンを縫い付けた縫製線が見えたり、生地目の向きが異なっていたりします。
実物を見ればどちらか分かると思いますが、画像だとぱっと見分からない事があります。
こちらのナマハゲの刺繍は「直刺繍」です。

背景部分以外にも刺繍の埋め込みが多いデザインの場合は、直刺繍をおすすめしています。
こうしたデザインは、ワッペンにしても刺繍量(ステッチ数)が大きく変わらないため、コスト面でのメリットがあまりありません。また、ワッペンの場合は取り付け加工費も必要になります。
刺繍の価格は「大きさ」だけでは決まらない
サイズも重要な要素ですが、刺繍は「ステッチ数(針数)」も価格を左右する大きなポイントになります。
刺繍は、一針一針の積み重ねによって作られています。そのため、針数が増えるほど加工時間も長くなり、コストも高くなります。
特に、ロゴの背景をベタ埋めしたり、広い面積を刺繍で表現したりするデザインは、見た目以上にステッチ数が多くなることがあります。
そのため、同じ大きさのデザインでも、刺繍の内容によって価格が変わる場合があります。
デザイン刺繍
こちらはすべて直刺繍です。サイズはそれぞれ異なりますが、デザインによってステッチ数(針数)が変わります。ワッペンも同様です。


スタンダード刺繍(背中/D)W25cm


インパクト刺繍(袖/D)W7.5cm


インパクト刺繍(袖/D)天地6.5cm

こだわりの刺繍(背中/E)W28cm

スペシャルインパクト刺繍(H)W28cm
デザインの背景部分に埋めが多いデザイン
デザインの背景部分に広い面積の「埋め」がある場合は、ワッペンの方が有利になることがあります。
例えば、ロゴのまわりに白い背景部分があるデザイン。
直刺繍の場合は、その背景部分も白糸でびっしり埋める必要があります。
一方、ワッペンなら白い生地をそのまま背景として活かせるため、刺繍する範囲を減らせる場合があります。
その結果、ステッチ数(針数)を抑えることができ、コストダウンにつながることもあります。
ただし、「埋めが少なければ必ず安くなる」というわけではありません。
線だけで構成されたデザインでも、線が細かかったり、文字や図柄が複雑だったりすると、ステッチ数(針数)は増えてしまいます。
刺繍の価格は面積だけでなく、デザインの内容によっても大きく変わるのです。
ワッペン刺繍

シンプル刺繍(袖/A)W6cm

シンプル刺繍(袖/A)W6cm

こだわりの刺繍(袖/C)W8cm
実はワッペンは仕上がりも安定しやすい
刺繍は意外と生地の影響を受けます。
例えば、
- 柔らかいTシャツ
- 伸縮性のあるポロシャツ
- 厚みのあるパーカー
もちろん、柔らかい生地への直刺繍がきれいに仕上がらないというわけではありません。
アルファユニでは、生地に合わせて刺繍データ(刺繍型)を調整したり、芯地を2枚使用したりするなど、できるだけ歪みや沈み込みを防ぐ工夫を行っています。
それでも、生地の影響を受けやすいことに変わりはありません。その点、ワッペンは安定した土台生地に刺繍するため、仕上がりの再現性が高いというメリットがあります。
着用感の違いについて
これは実際に着用する方に関わるポイントです。
直刺繍は、刺繍の裏面が衣類の内側に出るため、刺繍の位置や大きさによっては少しチクチクと感じることがあります。
もちろん、シャツやインナーを着用される方も多く、刺繍箇所が直接肌に触れないため、実際には気にならないケースも少なくありません。
一方、ワッペンは土台生地に刺繍を施してから取り付けるため、刺繍糸が直接肌に触れにくいという特徴があります。こうした着心地の違いも、実は加工方法を選ぶ際のポイントのひとつです。
どちらが良いかではなく、どちらが向いているか
ここまで読むと「ワッペンの方が良いのでは?」と思われるかもしれません。
でも実際はそう単純ではありません。
小さなワンポイントやロゴなら、直刺繍の方が自然で上品に見えることもあります。
逆に、ツイルの生地に大きなロゴや細かなデザインなら、ワッペンの方が綺麗に仕上がる場合もあります。
私たちが日々考えているのは、「どちらが優れているか」ではなく、「どちらがお客様のご要望やデザインに合っているか」です。
デザインを見て、素材を見て、ご予算は決まっているか、どんな表現が最適なのかなど考えています。
今回は、直刺繍とワッペンの違いについてご紹介しました。
今後の記事では、ワッペンに使用する生地の種類や特徴、ワッペンの外周加工であるヒートカットについてもご紹介したいと思います。
ワッペンの仕上がりや見た目にも関わるポイントですので、ぜひご覧ください!
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執筆:WEB担当
取材協力:加工場スタッフ
刺繍制作のことや日々の工夫について、noteにも綴っています。よろしければご覧ください。


