アルファユニの刺繍はこうして作られる。現場から生まれた改善ストーリー
2026.08.28
刺繍の加工現場では、日々多種多様なご依頼に対応しています。近年は対応可能な加工技術も増え、お客様に提供できるサービスが広がった一方で、スタッフが覚えるべき業務内容も必然的に増加しています。
熟練のスタッフにとっては当たり前の判断であっても、新しく入ったスタッフにとっては「この商品の刺繍位置はどこか」「どの順番で作業を進めるべきか」など、迷う場面が少なくありません。
新人スタッフが安心して作業に取り組み、かつ現場全体の品質を高く保つために「作業チェックシート」を確認してもらっています。今回は、その内容の一部を通じて、当社の加工現場の裏側をご紹介します。
作業の流れに沿った4つのチェック項目
チェックシートは、作業の進行に合わせて大きく4つの項目に分けています。
- 工程表&指示書の確認
- ミシン稼働前の確認
- 加工後の確認
- 全般的な注意事項
刺繍加工というと「ミシンを動かす作業」というイメージを持たれがちですが、実はミシンを動かす前の「準備と確認」が品質を大きく左右します。

1. 作業全体の流れと優先順位の把握
作業に入る前、最初に必ず行うのが指示書の確認です。その日一日の全体的な流れを把握せずに目の前の作業を始めてしまうと、後の工程に遅れが生じる原因となります。
当社の加工場では、1人で2〜3台のミシンを担当することもあります。そのため、「どの作業から始めるべきか」という段取りが非常に重要です。 基本的には稼働時間が長いものを優先しますが、納期が短いものや、同じ糸・設定で連続して加工できるものをまとめるなど、状況に応じた柔軟な判断が求められます。「ミシンを止めずに効率よく稼働させるための先回り」を、新人スタッフでもスムーズに行えるようシートに落とし込んでいます。
2. 品質を左右する、ミシン稼働前の入念な確認
■ 毎朝のミシンの状態チェック
「昨日は問題なかったから、今日も大丈夫」という思い込みは禁物です。朝一番の試し打ちで糸調子などを必ずチェックし、小さな違和感を見逃さないことが、美しい刺繍の仕上がりにつながります。
■ 個体差を考慮した刺繍位置の確認
「ここに刺繍を入れる」という指示があっても、基準となる位置から何センチか、作業前に必ず確認します。スクラブ、ウェア類は同じ商品であっても、縫製によってわずかな個体差があります。そのため「前回と同じ作業だから同じように設定すればよい」というわけにはいきません。
■ 過去のデータの蓄積とダブルチェック体制
追加でのご注文(リピート)の場合は、お客様の「前回と同じように」というご要望に確実にお応えするため、過去の刺繍位置や仕様を記録した指示書を必ず確認します。 また、初めて加工するデザインの場合は、実寸サイズのデザインを印刷して実際の商品に当て、位置決めを慎重に行います。その際は一人で判断せず、他のスタッフとも確認し合うダブルチェック体制をとっています。
3. 細かなミスを防ぐための注意点
刺繍加工では、「どこに縫うか」だけでなく「どこを縫ってはいけないか」にも注意を払う必要があります。
例えば、胸ポケット付近の加工では「ポケットの裏地」を一緒に縫い込んでしまわないよう注意が必要です。また、背中への大きな刺繍では「首元のブランドタグ」を巻き込んでしまうリスクもあります。商品の個体差によってタグの長さが異なることも多いため、実際に商品一つひとつを自分の目で見て確認することを徹底しています。 チェックシートには、こうした現場ならではの「うっかりしやすいポイント」も盛り込んでいます。
おわりに:一つひとつの確認が「お客様の喜び」へ
刺繍加工とは「ミシンを動かしている時間以外の工程」にこそ、プロとしての品質が宿るということです。
指示書を読み込み、段取りを考え、商品を検品し、位置を調整し、機械のメンテナンスを行う。これら一つひとつの細かな確認の積み重ねが、最終的に一枚の美しい刺繍入りスクラブとして完成します。
新人スタッフがいち早く業務に慣れて安心して働ける環境を作ることは、ひいては「いつご注文いただいても、安心して任せられる」というお客様からの信頼につながると信じています。 これからも、スタッフ一同一つひとつの確認作業を怠らず、真心を込めて刺繍をお届けしてまいります。
執筆:WEB担当
取材協力:加工場スタッフ




