医療・看護・介護の現場で使われるスクラブの選び方

医療・看護・介護の現場で使われるスクラブの選び方

医療・看護・介護の現場では、患者さんと直に接することが多く、清潔で機能的で、かつカラフルで医療現場を明るくする効果から医療用スクラブの人気が高まっています。スクラブの選び方は、患者様と医療従事者様の両方の目線から、色々な要素を考慮する必要があります。この記事では、医療・看護・介護の現場で使われるスクラブの選び方について詳しく解説します。

医療・介護・看護用スクラブの種類

まずは、医療・介護・看護用のスクラブの種類について見ていきましょう。

1.Vネック被りタイプ

スクラブの定番として、最も多く着られており主流となっているタイプです。
首周りの形状がVネックで襟がなく、着脱がしやすいようボタンやホックが肩口についています。被りタイプなので、髪の乱れやお化粧が付いてしまうため、女性には敬遠されがちです。

2.ジャケットタイプ

羽織るジャケットのような形状で、前身頃にボタンやファスナーが付いているスクラブです。ファスナーの位置について、多くは前開きか(左右どちらか)またはセンタータイプがありますが、ファスナーが後ろ側についているタイプもあります。襟の形状については、定番のVネックが主流ですが、ラウンドネック(丸襟)もあります。また、シャツカラーやスタンドカラー(※)など襟付きタイプもあります。主に介護士や看護師の方が着用しています。
※シャツカラーとはシャツに付けられたカラーの総称。
※スタンドカラーシャツは、襟の折り返しがないシャツの総称。

3. 軽量タイプ

こちらのタイプは2022年に各メーカーから販売が開始されました。
形状は(1)のVネックタイプが多く、軽量の生地を採用することで全体の重さが従来のものより3割~4割軽くなっています。
それにより、からだへの負担が少なく、肩コリが軽減されると言われています。

軽量スクラブの特集はこちら

4.スクラブパンツ(ストレートタイプ)

スクラブに合わせる同素材のパンツで、スクラブパンツと言われています。
ストレートタイプが一番多く、スクラブとのセットアップとしては定番となっています。
スクラブパンツは、ストレートでも細身ではなく、どちらかというとゆったりタイプが主流です。
ポケットはシンプルに右後ろに1つか、左右腰に2つ、前後ろ合わせて3つのものがあります。スクラブパンツは動きやすさを重視しているため、パンツの渡りが広めのものや、伸縮性のある生地を使用しているものが増えています。

5. スクラブパンツ(カーゴタイプ)

作業時の収納を考慮し、ポケットが多く付いているカーゴパンツタイプも多くなっています。多いものだとポケットが7つあり、収納性がかなりが充実しています。

6 スクラブパンツ(ジョガータイプ)

動きやすさを重視し、裾がストレートではなくリブで絞ってあるジョガータイプがあります。
シルエットは綺麗な細身となっていますが、ストレッチが利いた素材や柔らかいニット素材を使用していることが多く、動きやすさが阻害されることはありません。

以上が、代表的な医療・看護・介護用スクラブのタイプです。選ぶ際には、自分が働く現場環境、特徴や自分の好み、作業内容などを考慮して、適したタイプを選びましょう。

スクラブの素材

次に、スクラブの素材について見ていきましょう。

綿素材

通気性が良く、肌触りが柔らかいため、長時間の着用でもストレスを感じにくい素材です。しかし、汗を吸収する性質があるため、洗濯後の乾きが遅く、縮みやすい、また色落ちがしやすいという欠点があります。
海外のブランドでは、綿100%素材の製品がありますが、日本のメーカーでは綿100%のスクラブの展開はなく、現在アルファユニでは以下の1品番のみとなっています。

ポリエステル素材

メリットとしては、軽量で速乾性が高く、汚れがつきにくく、縮みやすさも少ない点です。
また、洗濯後皺になりにくい点がメリットですが、洗濯による退色が綿と比べると少ない点も上げられますので、多くの医療従事者に選ばれています。

但し、ひとまとめにポリエステル素材と言っても生地によって大きく変わります。
ポリエステル糸についても短繊維と長繊維があり、製造工程が製編(ニット)と製織(布帛)に分かれますので、それによっても変わります。また、同じ製織(布帛)でも組織が違えば生地の厚さや硬さ、通気性も変わります。

綿に比べると通気性が劣るため着用したときに綿よりも暑さを感じます。また、生地表面に対する引っかきや擦れに弱い点など、欠点もあります。
最近は暑さを軽減するために、接触冷感素材タイプの生地もあります。

ポリコットン素材

ポリエステルと綿を混合した素材で、代表的な混率としては大きく2種類となっています。ポリ65%/綿35%、ポリ50%/綿50%の割合の生地が主流となっています。

綿の肌触りと柔らかさ、ポリエステルの速乾性を兼ね備えています。通気性も良く、洗濯後の乾きも早いため、使い勝手が良いです。

代表的なスクラブ品番としてはDickies7033SCスクラブやPANTONE7000SCスクラブです。

ストレッチ素材

伸縮性のある素材で、動きやすさと着脱のしやすさが特徴です。
リハビリ関連、整骨院・整体での施術、立ったり座ったりが多い介護系の仕事、動きが多い作業では、ストレッチ素材のスクラブがおススメです。
素材選びの際には、自分の肌質や汗のかきやすさ、現場の温度や湿度なども考慮しましょう。

サイズの選び方

スクラブのサイズ選びも重要なポイントです。正しいサイズを選ばないと、作業効率や着心地に影響が出てしまいます。選び方のポイントを見ていきましょう。

全体的に、スクラブは動きやすさと着脱のしやすさを重視し、ゆったり目に着用することが多くなっていますが、ストレッチ素材の場合は生地が伸縮するためぴったり目に合わせてもストレスが少ないですし、ファスナー付きスクラブの場合は着脱がさらにしやすくなります。

また、女性用のスクラブでは、シルエットの美しさと動きやすさを兼ね備えたぴったりフィットのスクラブもあります。

肩幅

シャツなど一般衣料の場合は、肩幅が肩の線部分にしっかりと合わさるように選びますが、特にVネック被りタイプのスクラブの場合、動きやすさや着脱の観点から少し肩に余裕があったほうが良いでしょう。ピッタリすぎると腕の上げ下げなど、動きにくくなります。

袖付けの仕様がラグランタイプのスクラブは型の上げ下げがしやすいので、ぴったり目に合わせてもストレスは少なくなります。

以下の品番の製品はラグランの袖付けとなっています。

身幅

身幅は脇下位置の左右幅のことです。

メーカーによって胸囲という表記となっているところもありますが、
胸囲=身幅×2倍 となります。

胸周りは動きやすさの観点から余裕があったほうが良いですが、どれくらいの余裕が理想的かは難しいところです。個人の好みにもよりますが、目安としては、実際の胸囲+15%~+20%前後の胸囲(身幅×2)のサイズを選ぶと良いでしょう。

+15%くらいだとかなりぴったり目なサイズ感となりますので、+18~20%強くらいだとゆったり着れて動きやすくストレスがなくなります。

上記の数字はあくまで参考であり、製品の仕様によっても変わります。

着丈(ボディーの長さ)

着丈(スクラブのボディーの長さ)は、一般的な医療ユニフォーム(チュニック)より少し短めに設定されているものが多いです。理由は、作業上裾が長いと邪魔になるからであり、動きやすさを意識しているからです。

それでも、最近では裾が長めに設定されているものがあります。特に、女性をターゲットとしたスクラブの場合は5cm前後で着丈が長めのサイズが多くなっています。理由は、屈んだときに背中や腰が見えづらくなることを意識しているからです。

現在、ご自身が着用しているスクラブと「サイズ表」の「着丈」または「身丈」の長さを比較してみましょう。

ウエストおよびヒップサイズ

スクラブパンツを選ぶ場合は、ウエストサイズやヒップサイズも確認しましょう。スクラブパンツは一般的に総ゴムで紐付き、ファスナー無しのタイプが主流となっています。

脇ゴムタイプや前ファスナータイプをご希望の場合は、セットアップパンツ以下の品番のものを選択することになりますので、スクラブと同じ色や生地(素材)と合わせができなくなります。

その場合、男女兼用スペックか、女性用スペックかによっても仕様がかなり違いますので確認が必要ですし、ウエスト以外にも渡りやヒップ、ゆったりタイプかフィットタイプか、股上によっても着心地やフィット感が変わりますので、確認した上で選択しましょう。

また、ウエストがきつすぎると、作業時に圧迫感や不快感を感じることがあります。総ゴム紐付きタイプは紐を締めることで調整ができますので、あまりぴったり目を選ばないほうが良いでしょう。上下のサイズ選択としては、上下同じサイズか、パンツは1サイズ大きめを選ばれる方が多いようです。

色の選び方

スクラブは、白色や水色、ピンク色などの薄目の色から、ネイビー、ブラックなどの濃色、レッドやオレンジ、パープルなどビビットな色、ブラウンやチャコールグレー、ワインレッドなど落ち着いた色まで、様々な色があります。

しかし、現場によっては、制服の色が決まっていたり、血液や体液の汚れが目立たないように、濃い色を選ぶ場合が多くなっています。

それでも、その日の気分によって着る色を替えたいという要望から、2着目と3着目のスクラブは定番の濃い目カラーではない、ビビットカラーやパステルカラーなど綺麗な明るめの色を購入する方が多いようです。

また、色選びによっては、現場の雰囲気への影響や、患者さんや家族に対して刺激や不快感を与えてしまうこともあります。そういったことを避けるためにも、現場のルールやマナーを確認してから、色を選ぶようにしましょう。

機能性の選び方

スクラブには、機能性の高いものがあります。例えば、ストレッチ性のある生地や接触冷感の生地を使用しているものは、着心地が良くなる機能です。収納性をアップするためにポケットが多数ついているものもあります。その他、防汚性の高いもの、抗菌・制菌・抗ウィルス・防臭機能がついているものなどが色々あります。

機能性の高いスクラブは、作業効率を上げたり、快適な着心地を提供することができます。しかし、機能性の高いものは、一般的に値段が高い傾向があります。自分が必要とする機能に絞って、予算に合わせて選ぶようにしましょう。

洗濯のしやすさ

スクラブは、日々の作業で汚れがつきやすいため、洗濯のしやすさも重要なポイントです。洗濯機で洗えるものが多いですが、縮みやすい生地や、色落ちしやすい生地もあるため、洗濯表示を確認してから購入するようにしましょう。

特に太陽光に当てると変色がしやすくなりますので、陰干しが理想です。
また、製品ごとに洗濯耐久性が違いますが、スクラブ選びには重要な要素です。
病院出入りのリネンサプライヤーに洗濯を依頼する場合は、工業用洗濯対応製品かを確認しておきましょう。
リネンサプライヤーは家庭よりも洗濯方法がハードになりますので、摩耗が早くなります。そのため、工業用洗濯対応の試験をクリアしている製品の方が安心です。

まとめ

介護や看護の現場では、快適な着心地や動きやすさ、清潔さなど、様々な要素が求められます。自分に合ったスクラブを選ぶことで、作業効率の向上や快適な作業環境を提供することができます。

サイズ、色、デザイン、機能性、ブランド、洗濯のしやすさなど、様々なポイントに着目し選ぶようにしましょう。
また、現在着用中のスクラブで、どのポイントを改善したいのか、改善したい機能やスペックを明確にした上で、新たなスクラブを検討してみると良いでしょう。
サンプルを貸出していただけるところや、一度サンプルとして購入し後日返品を受けてくれるお店もありますので、実際に商品を見ることや、サイズ感など確認することで失敗が少なくなります。一度相談してみてはいかがでしょうか。

最後に、スクラブを選ぶ際には、自分が快適に作業できることが最優先です。自分に合ったスクラブを選び、安心して仕事に取り組むことが大切です。

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